心の中に五郎さんを

この前、久々に知らない街を一人散歩することがあった。

最近は、散歩といっても息子と一緒なので、公園に行って、帰りにスーパーマーケットに寄るというお決まりのコース。

当てもなくふらふらというのは本当に久しぶりだった。

そして、何を隠そう、わたしは、当てもなくふらふらというのがたまらなく大好きなのだ。

効率は一切無視して、極力スマホも頼らず、気の向くままに、直感のみでお店に入ったりしてみる。

今回のふらふらの舞台は用賀である。
よく名前は聞くが、実際に駅周辺は歩いたことがなかった。

用事を済ませ、意気揚々とふらふら開始。
昔ながらのコインランドリーや、やけにおしゃれな靴修理屋さん。
楽しい、すでに楽しい。



すると、何やら行列を発見。
行ってみると老舗のラーメン屋さん。



以前ここでも書いたが、わたしゃ冨永愛さんに憧れて、ラーメンは年2回オンナである。

このときは、まだ2022年。
すでに年2回どころか、3回は食べている。
諦めろと自分に言い聞かせながら、スマホでお店を検索している。

すると、週末の数時間しか空いていないラーメン屋さんらしい。

そのタイミングで店の前にいるなんて、これはもう運命としか思えない。
これはきっと神様からのプレゼントだ、とわけのわからない理由をつけ、その行列の一員となった。

前を見ると、お父さんと8歳くらいの女の子が親子で並んでいた。
そして、その女の子は、なんとあやとりをしているではないか。
ほぼ全員が、スマホで時間を潰している最中、あやとりをして過ごすって、なんて微笑ましいのだ。
その子に感化され、スマホから手を離し、本を読み始めるわたし。
前に背負うスタイルでリュックを机代わりにして、読書をする自分が、なぜかとても大人に感じた。

30分後、ようやくカウンターに座り、塩ラーメンをすする。



最高である。

よく
「一人で散歩したり、ご飯食べるのって寂しくないですか?」
と言われることがある。
そんなときは、心の中に五郎さんを住まわせるのだ。
五郎さんとは、「孤独のグルメ」の井之頭五郎さん。ドラマでは、松重豊さんが演じられているあの五郎さんだ。

散歩中もお店で注文するときも、わたしはいつも、五郎さんならぬ絢子さんが脳内でナレーションをつけてくれる。

一人が苦手な方、一度、心の中に各々の五郎さんを住まわせてみてほしい。
きっと、一人ふらふらが、たまらなく楽しくなると思う。

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