久々クレヨン

10年来お世話になっている美容師さんが、もうすぐ独立して、お店を出されることになった。
めでたい門出だ。わたしも微力ながら、なにかできないかなぁと思っていた矢先、カット中に突然、
「もし良かったら、新しいお店に飾る絵を描いてもらえませんか?」

なぬ!? アートが好きという話をしたことはあるが、実際自分で描くのは本当に苦手なわたし。美術の評価もいつも「2」だった。
大人になってからも、描けば「ほぼ壁画」と言われ、なるだけバレないように生きてきた。

そんなわたしが、一世一代の新たなお店に飾る絵を。
おそらく、とてつもなくおしゃれであろうお店に。

脳内ではパニクっているのに、口から発したのは
「もちろんいいですよ」

わたしそういう所あるのです。

その日から、何か良い方法はないかと考え、思いついたのが写真だった。
写真は上手ではないが好きで、海外ロケにはいつもカメラを持って行き、撮っている。
美容師さんも、アフリカにひとり旅をしたりと異国好き。
自分なりのいい感じの写真もたくさんある。
よし写真を使おう!とまでは思いついたものの、写真だけ渡す訳にはいかない。もはや手抜き感が否めない。

そこでひらめいたのが、写真と絵の融合だ。
とある展覧会に行った時に、写真の上からペイントしてある作品を見て、インプレッションを頂いた。
あくまでもインプレッションである。

そこから試行錯誤をして、キャンバスプリントされたものにクレヨンで描くのが、わたしでもなんとかできるアートだった。



そして、その作業がすこぶる楽しい。

クレヨンというものをおそらく保育園ぶりに使ったのだが、直感的に描けるので、絵が苦手な人でも楽しめるし、筆などを使わず、指先で直接こすったりもできるので、童心に帰れるのだ。

上手に描こうとか、正しく描こうとかじゃなく、楽しく描こうというマインドになるクレヨン。
我ながらいい感じのアートになった気はしているが、まだ誰にも見せていないため、人の評価は分からない。



果たして美容師さんに気に入ってもらえるのか、お店に飾られるのか、ドキドキである。

評価はどうあれ、楽しい時間を過ごすことができた。

皆さんも久々にクレヨンに触れてみてください。なんとも言えぬ幸福感に包まれますよ。

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