人の布団をケチるの巻

初めての出産に、初めての育児に、大きな不安を感じていたわたし。

周囲のママさんから聞く

「出産がゴールじゃなく、その後が本当に大変だ。眠れないし、精神的に辛い。誰もそんな事言ってくれなかった」

という切実な声を聞き、産まれたあと、頼れるものは何でも頼りまくろうという気持ちになっていた。

夫も協力的とは言え、仕事で毎日四六時中、家にいるわけではない。

そんな初めてのことにあたふた怯えているわたしを見兼ね、鳥取の実家から、母が1ヶ月、妹が最初の1週間ほど、手伝いに来てくれることになった。

コロナ禍の今、本当にありがたい話だ。

そんな久々の共同生活に備え、母と妹の寝具を、お値段以上のニトリさんで揃えようと、出産前に夫婦で買い出しに行った時のこと。

さすがはニトリさん、お手頃なお値段で、マットレスやら敷布団やらが買える。

そんな中でも夫はかなり高めの布団を指し、「これはどうか?」と言ってきた。

わざわざこんな時期に、東京まで来てくれる母と妹。
良い布団でゆっくり休んでほしいではないか。
そう思っていた。
思ってはいたが、出てきた言葉は、

「いや、そんないいやつじゃなくてもいいんじゃないかな。どうせ1ヶ月だけだし、こっちのでいいよ」

なんてやつだ。
我ながら、自分が情けない。
きっと自分の布団なら迷わず、1番高いものを選んでいそうだ。

帰りの車で、そんな後悔を抱きながら、家路に着いた。

そして後日、その後悔に追い討ちをかける本に出会ってしまったのだ。


小山薫堂さん著書の
「妄想浪費」

小山薫堂さんが、上質なお金の使い方について書いている本なのだが、

あとがきにておっしゃっている

「欲しいものをよくするがままに買えることは楽しいし、嬉しい。だが、その楽しさや嬉しさは一瞬だ。長続きはしない。一方で、誰かのためにお金を使うと、相手の喜びが長く自分の心を温めてくれる。
つまり、喜びが長続きするような消費を心がけることこそ、幸せなお金の使い方なのだ」


あまりにも、その時の自分にピンポイントの言葉で震えた。

わたしゃ完全に、自分本位のお金の使い方をしてしまった。
喜びが長続きしないどころか、後悔をしてしまっている。こんなお金の使い方では、幸せになれない。


後日、母と妹が来て、一晩寝て、翌朝言った。

「なんて良い布団なの。電気毛布がなくても、こんなに暖かいんだね」



そんなことを言ってくれる2人に、ケチって買った布団だということは、言えやしない。

今年は、喜びが長続きするようなお金の使い方を心がけます。
 

SHARE: